協力隊 石丸慎吾(協力隊OB しんらエリテ)
SHINGO ISHIMARU 1972年生まれ。愛媛県松山市出身。
大学時代は長野で過ごし、森林科学について学ぶ。保育園の先生を2年弱経験の後、長野県伊那市の森林組合に13年勤務。吉野の温浴事業の面接を受けた後、縁あって下北山村に来村し、下北山村役場の北と出会ったのをきっかけに2020年5月より森林管理の協力隊となり3年目。主に、森林を整備する前に必要な森林の状況を知る森林調査、施業提案などのプランニングに従事。広葉樹、植物に詳しく、一緒に山に入ると様々な植物のことを教えてくれる。2021年秋には、植物について知るワークショップ「いしまるさんぽ」第一回目を開催。
林業に携わるようになったきっかけは?
学生時代から林業に興味はありました。林業の講義を何度か聞いて思ったのは、林業を知りたいのならやってみるしかないな、と思ったのがきっかけです。学生時代は、現在の森林に興味は持ちつつも、昔のことを中心に調べていました。卒業間近から、これからの山や林業について考えて、知りたいと思いました。この頃から林業をやりたいと思っていました。
下北に来たきっかけは?
林業をやっている知り合いが下北山村とつながりのある方で自分自身、山の管理をしたいと思っていた矢先、下北山村を訪れる機会がありました。役場の北さんと会い、山の話や、現場を案内してもらううちに、ここの役場の方も、村としても、林業をこれからやっていこうという強い思いがあると感じられたので、自分もここでやってみたいと思ったからです。
自伐型林業を知ったきっかけは?
前から聞いてはいたが詳しくは知らなかったですね。下北山村に訪問した際に、北さんから実際村で自伐型林業をやっていること、現場を実際に見ながら詳しく聞いたのがきっかけです。
1年が経って村の生活はどうですか?
慣れてきました。村の皆さんが気さくな人で、普段も気を使わず気楽に過ごせています。村民さん、山主さんとのお話する機会もあり、一緒に飲むこともありますね。
下北山村で好きな場所は?
谷になっていて、水が流れているところで木が生えていて、裾野に苔が生えているような場所 苔がもふもふしているような場所(私が住んでいる集落佐田のモデル地区の中にもあります)
ある日の石丸さんを教えてください
来年度の混交林誘導整備事業(※)の候補地を探しに村内某山に行く。事業対象地にできるかどうか、山の現状を確かめる。ヒノキが生えているが木の成長が著しく悪くまっすぐに育っておらず、まとまって生えているので、このまま木材生産は難しいなとか。景観をよくするツツジなどを植えようかと考えたり。
(※)混交林誘導整備事業・・・奈良県が2021年から新しく始めた事業。成長が見込めない
スギ・ヒノキの山に一部パッチ状に伐採し、広葉樹を植えて育てる事業
森についてどう思っていますか?
人工林を整備するうえでの理想としては、
1)今、植えられているスギ・ヒノキを定期的に間伐して手入れしていくこと。
2)成長のよくない山、今後成長が見込めない山については樹種転換、山に応じた手の入れ方を考えるのがよいと思っています。
森の魅力、価値については?
魅力は、長く関わらないと良さがわからないところ。将来的にこの山をどうやっていったらいいのかを考えることに面白さを感じていて、そういう時間が好きです。
2020年の研修はサポートしていてどのように感じていましたか?
伐倒の会、道づくりの会など、何回かに分けて実施したのはよかったと思います。1回だけでも、身につかないし、実際にやって次にまた復習して身につける回もありよかったです。
次に研修をやるとしたらどのようなやり方がいいとおもいますか?
実践的な現場で研修するのが、リアルかと。搬出間伐の現場、切り捨て間伐の現場など、いろんな現場を経験すること。今回は大人数で一緒にやることが多かったが、次は、もっと個別の対応で少人数でじっくり考えながらやる方向もいいのでは。あとは、切り捨て間伐の現場を経験することは少ないので、あえてそれをやってみるのもありかと。集材できない現場もある、という視点、やってみて自分がどう思うのか、気持ちを知るのもいいのかと思います。
最近嬉しかったことは?
今年から始める混交林誘導整備事業(成長が見込めない杉、ヒノキの山で一部パッチ状に伐採し広葉樹を植え育てる事業)について、佐田地区の山主さんにお話しに行った時、快く実施することをOKしてもらったこと。支線についても、直接山主さんに提案して、承諾をえたり、山主さんと向き合って山の話を一緒にできたことです。
1年たって、印象に残った仕事は?
全部!です(笑) でも、中でも佐田の現場の境界明確化事業でやった資料作り。現場作業しかやったことなかったが、村にきて事務仕事をするのは初めてだったので資料作りで、どれだけの資料をつくればいいのか、加減がわからず大変でした。周りの人に助けられながらなんとかできました。笑
プランナーの仕事については?
非常に地味で縁の下の力持ちだなと思います。山主さんと、どう話をしていくか、なぜ、山に手をいれたほうがいいのか?なぜ、いま間伐しなくてはならないか?を山主さんに話をするだけでなく山主さんが理解してもらえるように伝えるのは難しくもあり、一番大事だなとおもいます。山主さんとの対応は慣れてきたものの、いろいろな山主さんがいるので、自分が話して説明したことがどこまで伝わっているかはとても気になります。やりがいはあります。
石丸さんの理想としている森づくりは?
樹種転換をする場合、自分としてはできるだけその山に自然に生えている木を植える、自然に飛んできたタネが育つような山がいいのですが。山主さんは、樹種転換をしたいと思っているが、獣害対策を考えると躊躇してしまう。自然も大事だが、関わる人も大事で、どのようにまとめて、形にしていくかがとても難しいです。。。
地域おこし協力隊について、どう思いますか?
下北山村では、自分がこうやりたいということを、協力隊に入る前から持っているほうがこの村に向いてるんじゃないかと思います。もちろん、来てからも自分はこれをやりたいという気持ちが芽生えて、他の協力隊や山主さん、山に関わる人と話をしながらイメージとしてかたちを作っていくのもいいかと思います。一番は想いがあれば!ですね。
自立にむけて、と言われますが卒業後はどのように生きていきたいですか?
森にはずっと関わって生きたい、とても大事な部分なので。かといって、プランナーを生業としてやっていくのは今の時点では厳しいが、どうやっていけばいいのかという点では、まさにやっている最中なので、今はなんともいえないですね。笑
石丸さんの夢はなんですか?
山にふらっといったら、誰かがいて、その場で出会った人と山の話を気軽にしたり、井戸端会議を山の中でしたりとか(笑) 実は仕事の途中だったかもしれないけど、おしゃべりに夢中になって、知らんまに夕方になってたり、冬は焚き火をしたりして過ごすとか、毎日ではなくてもそんな過ごし方ができたらいいです。植物が好きなので、フィールドがあれば、植物について学べるワークショップも村内でやってみたいですね。いしまるさんぽとか。(笑)
ここで、講師の岡橋一嘉さんから石丸さんに単刀直入な質問が!
石丸さんが広葉樹好きなのがとってもわかるんだけど、下北山村にはそのような山が少ないから石丸さん自身そのあたりは、どう思っているんですか?
もともと針葉樹の多い下北山村なので、広葉樹の場所は限られているし、あっても急斜面のところに位置してしまうので、なかなか手入れもしにくいのですが、今年から始まる先ほどから話している県税事業で樹種転換していくエリアがあるので、広葉樹の知識を活かせることができたらとおもいます。山主さんから、「針葉樹から広葉樹へ樹種転換したい」という要望は何人かからあります。村内のこの山だったら広葉樹に樹種転換したほうがいいのではないかなど、山をみつけて山主さんにご提案していくやり方もあるのではないかと。そのためには下北山村にある山に入って知り尽くすしかありませんね。(笑)地形図をみても、実際いってみて現場を見ないとわからない!のが現実です。これから樹種転換できる山を探しにいかなくてはなりません!やることが盛り沢山なので、一緒に山に入る仲間が欲しいですね。。。
これからやってみたいことは何ですか?
森林管理における、適地適木を知りたいです。今まで適地適木を多少は分かっているつもりであったが、最近、全然足りないことがわかりました。時間がかかるだろうが、地質・土壌・微地形・水みちから適地適木が分かるようになりたいと思います。
後記
石丸さんの山への想い、植物への想い、これまでの経験・知識をこれからの下北山村で活かしてほしいです。山にもいろいろな山があっていい、人と同じで、同じ山は一つもないので、それぞれの山を、いきいきと元気に育てていくのも私たちの大事な役目の一つなんですよね。がんばりましょうー。
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