協力隊谷内さん -interview-

協力隊3年目の谷内さんに下北山村がつくったサポート体制についてお聞きしました。来年の春に卒業を迎えますが、今年度から協力隊の時間外で自主事業として自分一人で補助金を使って作業道開設を行なっています。 池峰・クスヤ北の現場にてー

1)森林経営管理制度の活用について

この制度がなければ、自分で山主さんに直接交渉しなくてはならないので大変ですが、村と山主さんが契約をしているので、安心です。


実際には今、補助金を活用して施業している山は、谷内さんがプランニングをして提案書を作成したんですよね?

今入っている山の所有者はお一人なのでなんとかできました。複数の山主さんへの提案は、まだ経験がないので、今後、経験できたらとは思います。


自らプランニングすることについてはどのように思っていますか?

自分がやっていく仕事の3年先までが見えているというのは、安心につながります。でも、一人でやってくのは大変だなと思います。あと、事務系のことがよくわからないことが多く個人事業主としてまだまだ慣れないことがありますね。(笑)

2)重機のレンタル支援について

卒業してすぐにユンボを購入するのはむずかしいです。下北山村は立地的にも業者から借りるのも遠く(回送費用等)大変なので、、、ユンボを村役場から安価でレンタルできるところは、金銭的な部分以外にも、協力隊の活動中に使い慣れた重機が卒業後も継続使用できるので助かります。ユンボだけでなく、2tトラックとキャリアダンプを借りられることも、作業道の施工時、材の搬出には必要なので助かります。3年間でどうにか、自分でユンボを借りれるようにはなりたいです。

3)労働災害保険の加入助成について

林業は保険が高いので、補助があると入りやすいです。来年春からは使用していきたいと思っています。万が一、怪我した時にこのような制度があるのは安心、ありがたいです。


4)村独自の作業道の補助事業について

国の補助金だけでは赤字になりますが、村の補助があるおかげでとんとんかすこし利益がでるとおもうので、ありがたいです。

5)村独自の弱度間伐補助事業について

昨年、実際に佐田の現場で使ってみました。年数がたった85年生くらいの林分で使うのは良いように思いました。その時の間伐率は、15%で使ってみました。これまでの自分の経験上、15%の間伐は初めてでした。枯れもあったんですが、どのような雰囲気になるかがわかりました。


6)小規模林業者への運材助成について

昨年、先の佐田の現場で弱度間伐をした時にスカイウッドさんへの搬出の際に使いました。2トントラックも村から借りれるので恩恵は大きいです。燃料代が返ってくるというのは、収益を上がることにつながります。この現場でも使っていきたいとおもいます。


これらの要綱があることについてどうおもいますか?

なかったらしんどいと思います。これらの要綱があると卒業してからも、仕事がしやすいのかなと思います。作業道と間伐の施業をして、村でやっていけるイメージはついてきました。

粗道作業を進めているところ


4月から自主事業で作業道をつくりはじめてみてどうですか?

卒業前に、練習ではないけれど、実践してやれることは卒業したときの状況を知れますし、これまであまり長い距離の作業道はつくったことがなかったので、自分のスピード感がわかるのはいいです。この現場でやってきて、粗道はほぼ終えたんですが、これからですね。今は、やらなくちゃ、やらなくちゃって気持ちです(締切があるから)でもここの現場に入るときは、一人なので作業はゆっくりめにやっています。

谷内さん作成の3ケ年計画の路網設計図 

クスヤ北・谷内さん担当現場(右の赤線)クスヤ南・協力隊現場(左の赤線口)


卒業後もこの現場をやるので、3年後には、現在他の協力隊たちと一緒にヘアピンをつくっているクスヤ南の現場とこのクスヤ北の現場がつながります。全部で3km近くになる予定です。その先もまだルートが確定していないので踏査が必要で一嘉さんには引き続きお世話になるとおもいますが、3年後どんな道になるのか楽しみです。

おわりに

これまであまり整備されてこなかった森林に作業道をいれていく谷内さん。さまざまな林分、広葉樹も残っている、木と木が混み合って山側に倒すのが大変な山に自分のペースで日々計画をたて作業をする。自立に向けてコツコツと地道な作業を静かに確実に習得し、いままさに実践している姿は逞しい。要綱を活用する人がまた一人増えることは、嬉しいことです。作業道の仕上がりがとても楽しみです。






奈良下北山村・森林林業地域おこし協力隊

奈良県下北山村・森林林業 地域おこし協力隊の活動を紹介。自伐型林業、作業道開設を軸に森づくりをしています。