混交林誘導整備事業 2023

下北山村で奈良県の「混交林誘導整備事業」を行うのは3年目になります。

この事業は、杉、ヒノキの人工林で、育ちがあまりよくないエリアに、植えた苗に十分な光が届き、育つようパッチ状にギャップ ※1  をつくり広葉樹を植えて樹種転換するもの。毎年、少しずつ経験値を増やしています。


今年は、佐田地区で2.15haを実施しました。植栽については植物の成長を考え今年度も自然配植の方法を取り入れました。


事業計画をたてる

毎年、事業地について所有者さんへご提案し、事業計画を立てます。どのくらいの広さの事業地にするのか?どの程度の間伐をしてパッチはどのような形でつくり、適地適木の考えで育つようにどのような樹種の苗木を植えればいいのか?どんな獣害対策をすればしっかりと苗木が育つのか?さまざまなパターンを組み合わせ、細かいところまで考えて計画しています。

今回の混交林の事業計画を立てるため、何度も山に入っていた石丸さん。彼からは、事業内容、自然配植※2の巣植えの仕方について実際施業する現場に入って指導してもらいました。

現場で実行する

安井さんからは、施業に入る際の準備段階から、「自分でこの事業を請け負ってやるなら、自分ならどのように段取りするか?」考えてみることから指導してもらいました。


ギャップを作り、地拵え、保育間伐、苗木を守る獣害対策の作業など、この事業は林業の施業の要素がしっかりと詰まっています。初めてこの事業を経験する金原さんは、安井さんからひと通り学び、事業についての意義・理解を深めていました。

植栽と獣害対策については、微地形を読まないといけないため細かい点を確認しながら現場に入りました。今回は9つのギャップに対して、パッチディフェンスや巣植えディフェンスなど3つのタイプの防鹿柵を設置し、ギャップ以外のエリアについては、ヒノキが多く2割の間伐をしました。

今回植栽した樹種は、現地の地形と土質を確認して適地適木として、アカガシ、アカシデ、イロハモミジ、クマノザクラを選択しました。クマノザクラについては、山林所有者からの要望と下北山村で数年前から苗木を育てている人がいたため地域性苗木として選択しました。これから苗木がどのように育つのか、それぞれのディフェンス効果、見回り、観察を続け、今後に活かせるようにしていきます。


※1 ギャップ ここでいうギャップは、新たな苗を植えるため、杉・ヒノキの林地の1区画に小さな皆伐地をつくったときの空間のことを指します。

※2自然配植 山には環境条件(地形、地質、風、光、水など)によって生じた様々な立地に、それぞれ適した樹種が生育しています。この適地適木の考え方を活かした植栽方法。3本一組みで寄せて植えることで、生存率を上げ、早く上に伸びようとする性質を発揮させる「巣植え」の方法などこれまでの林業の植栽とは全く異なります。

奈良下北山村・森林林業地域おこし協力隊

奈良県下北山村・森林林業 地域おこし協力隊の活動を紹介。自伐型林業、作業道開設を軸に森づくりをしています。