下北山村 森のしごと記 第1回
地域おこし協力隊の長柄(ながら)です。
この村に移り住んで半年ちょっと経過しました。村の広報誌2月号でも自己紹介させて頂きましたが、この半年間は55歳にして初めての経験だらけであり、時にその経験に歓喜し、時に何回挑戦しても「できん」という悔しさにこっそり涙し、疲労困憊の体で帰宅し、翌朝木くずだらけのふとんで目覚め、まさか演習場に逆戻りかと錯覚するなどなど、おかげさまで新しい人生を極めてダイナミックに活性化させております。
そんな私ですが、この度、下北山村の地域おこし協力隊員として、村の里山で学んだ出来事を紹介させて頂くことになりました。名付けて「森のしごと記」。驚きと感動の連続である森の出来事を、できるだけわかりやすくチョッピリ言葉で盛って、今月から偶数月の広報誌に掲載する予定です。この村の里山で行われている林業に興味のある方、林業にはそんなに興味ないけど近所の山のことは気になる方、遠くに聞こえるチェーンソーの音に惹かれる方、様々な思いがあると思いますが皆様よろしくお願いします。
まず、第1回目の森のしごとのご紹介は、「選木(せんぼく)」です。「選木」とは、間伐を行う時に、残す木と伐る木を選ぶ作業のことです。今回はこの工程を少し詳しく紹介したいと思います。
選木した間伐 する 木にテープを巻く谷内隊員と見守る岡橋先生
【選木(せんぼく)】
林業初心者にとって「選木」はとても心が苦しい作業です。去年の協力隊第1回講習において「長柄さん。目の前の木々の百年後の姿をイメージして、今、残す木と伐る木を選り分けて下さい。」って、私が林業初めて2時間くらい経った時の先生の指導です。私は「ひぇ~~~わかりません」って、つい口にしてしまいました。木を伐る前に木を見抜く力をつける。さすが林業史深い下北山村。指導も情け容赦なく深いです。
続いて「なぜその木を選んだのか?」「その木を伐ることによって成長が促進される木はどれか?」そして元に戻って「百年後理想の森になっているか?」が問われます。
そうです。「選木」とは、将来有望な木を見極め、その木に隣接する木を伐って空間を開け、伐られた木が受け取るはずだった日射や水などを振り分ける間伐作業の核心となる弱肉強食の工程です。森は、だいたい15年に一度(吉野ではもっと短い)この選木を経て間伐が繰り返し行われ成長していきます。私が経験した間伐でも、50年を超える木が対象となったりしていて、「長柄さん、ここの林齢55年生ですね。」って、今日の選木は私と同級生。なんか複雑な気持ち。それでも心を鬼にして、おそらくそのころ私はいない遠い将来の森の姿に思いを致し、今、選ぶべき木を見上げて進みます。林業は土地も時間も雄大です。
間伐時期 の森 (左) と 間伐後の森(右)間伐後は光が差込み明るくなる(滝ノ谷にて)
さて、冒頭の私の林業初日、小一時間見上げて必死に自分なりの品定めをして、都度、間伐対象とした木に「ごめん」とつぶやき黄色いテープを巻いてきた作業は、「ま、こんなもんやろ」という先生の言葉で休憩になります。先生続けて「谷内君、間違って伐ってしまわんようにテープ外しといてな~。」
つづく
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