下北山村 森のしごと記  第5回

最近めっきり朝夕の冷え込みが冬の様相となりました。気づけばもう12月。時間は駆け足で過ぎていきます。乗り遅れるな地域おこし協力隊!(の長柄!)


さて、前回は広葉樹の植栽に関して混交林誘導整備事業を紹介しました。そして、この事業を推進するには、関連する専門知識と、下北山村の山林の現状を併せて知っている稀有な人材が必要ということも紹介させて頂きました。現在、協力隊の林業部門で働く私たち3人にはそのような能力はありません。協力隊の期間は道づくりなどの山林の整備を極めるために努力していますが、整備事業を先導するような専門知識は持ち得ていません。では、どこに。。。

事業地で巣植えを教える協力隊OBの石丸さん


その人材はとても近くにいました。そうです、今年4月に協力隊を卒業し、この村で個人事業主として起業し、兼ねて集落支援員として下北山村の山林を調べ歩き、整備が必要な森を把握するなど、森の整備計画などに助言を行う事業を展開している「しんらエリテ」石丸さんです。私個人は、昨年9月からのお付き合いですが、深い森に関する知識とそこに打ち込むひたむきな情熱を毎日のように感じ、知識に裏付けられた森の整備に関する知見に触れる度に、いつも頭が下がりました。そんな石丸さんに最初に教わったのが、広葉樹植栽の技術である「巣植え」です。

【巣植え(すうえ)】

「巣植え」とは、広葉樹の苗木を山に植えるときの手法です。杉や桧など針葉樹の植栽では、苗木を1本ずつ一定の間隔を開けて植えるのが普通なのですが、広葉樹の植栽においては、例えば2~3本の同じ樹種の苗木を、枝葉が触れるか触れないくらいの近接した距離で植えていきます。同じ樹種の苗木を一つの巣のよう植えるのでこの名称がついたのだと思いますが、この微妙に密接な距離感が植物の競争による成長と、日射や風雨からかばいあい助けあう成長を促すのだそうです。近くに競争したり頼れる人がいると、なんか頑張張れちゃいますよね。林業協力隊も3人です。巣植えの苗木のようにガッツ切磋琢磨して成長したいと思います。

現場ごとに地形が異なる 植栽位置と獣害対策をする場所を確認して作業する

地温の調節と土壌水分の保持のため茅(カヤ)でマルチをする


さて、今年の4月から偶数月に掲載してきた「森のしごと記」ですが、今回でなんと5回も続きました。土曜朝市、池の平公園、山の神の日神事(&直会)、きなりの湯等々、村のあっちこっちで温かい応援を頂きました。ありがとうございます。次回来年2月号が第6回の最終回となる予定ですが、次回は、これまで林業協力隊の長柄がひた隠しに隠してきたスーパーOBである先輩方々と、その森のしごとについて紹介したいと思います。

お楽しみにっ。つづく



奈良下北山村・森林林業地域おこし協力隊

奈良県下北山村・森林林業 地域おこし協力隊の活動を紹介。自伐型林業、作業道開設を軸に森づくりをしています。